「地方独立行政法人化」すべき 名張市立病院在り方検討委
令和4年1月に諮問された「名張市立病院の目指すべき将来像及びその役割」について2月13日、答申書が竹田寛検討委員会委員長から北川裕之名張市長に提出された。提言には3つの要素があり、1つは「市立病院の地域医療における役割に関すること」、2つ目は「市立病院の診療科目及び病床数に関すること」、3つめは「市立病院の経営形態に関すること」である。
連携が大切
「地域医療における役割に関すること」では、紹介外来制及び二次救急医療体制を継続しながら、医療機関ごとの機能分化や診療領域の役割分担といった連携体制の確立と更なる強化を図る必要があるとし、伊賀地域の基幹3病院の救急輪番制を継続することが望ましいとした。伊賀市と津市を含む二次医療圏の医療機関との連携については、地域のクリニックとの病診連携を推進する一方、三重大学医学部等の連携も強化する必要があり、特にがんについては、疾病の早期発見から迅速な治療及び在宅復帰を実現するため、切れ目なく質の高い医療サービスを受けられる医療体制の構築を目指して、名張市立病院が主体的な役割を果たして行く必要がある。そのために地域医療連携推進法人制度の活用など連携の方法を検討すべきである、と述べている。
産婦人科は慎重に
「診療科目及び病床数に関すること」で、北川市長が言及している産婦人科については、伊賀地域の出生数の将来見通しを踏まえると、新たに体制を確保する必要性は低いとしながら、今後の若者定住施策により出生数が増加傾向になった場合や、地域の周産期医療の提供状況に変化があった場合を見据え、継続して検討をすべきと、含みを持たせた表現となっている。病床数については、200床前後の病院は赤字経営が多いので、他の病院との連携や統合で地域医療構想の実現を目指すことが望ましいとしている。
地方独立行政法人化に
「市立病院の経営形態に関する事項」では、現在の経営形態である「地方公営企業法全部適用」は、経営に関する職員の意識改革が十分に機能しないことが懸念される。「指定管理者制度」では選定される指定管理者の経営に与える影響が大きく、医師の確保や既存職員の雇用に大きな課題がある。「地方独立行政法人」は、公共性を維持しつつ自律的・弾力的な経営が可能であり、同規模の法人化した病院を調査した結果、多くの病院で医師数の増加が確認された。これは法人化により「経営の自主性・迅速性」「職員の意識改革」がはかられ、働く医師にとって魅力ある病院となった結果であると考えられる。
委員会の結論として、名張市立病院が直面する課題の解決に向けて、3つの要素を最も効果的かつ効率的に改善するため、経営形態を「地方独立行政法人」とすべきである、と答申を纏めている。
答申書提出の場で竹田委員長は、「地方独立行政法人化すると、理事長の権限が大きくなり、自由裁量が増え、職員の就業意欲が増し、目の輝きが変わる。働きやすい環境が整う。ひいては看護師一人一人、末端の職員まで活き活きしてくる。これから病院も本当の勝負が始まる。ぜひ地方独立行政法人化に尽力して欲しい」と北川市長に投げ掛けた。
北川市長は「重い課題であり、熱心に協議いただき答申に至ったことを感謝する。多方面に亘って分析も頂いた。持続可能な病院が求められる中、この答申を受けて具体的な課題を詰めていき、地方独立行政法人化も検討したい」と労をねぎらった。
答申書を作成した「名張市立病院在り方検討委員会」は、竹田寛委員長含め委員7人、オブザーバー2人、事務局3人で構成され、令和4年1月6日第1回委員会以降、令和5年1月19日まで7回開かれ、2月13日の答申書提出に至った。