危険な空家を除去 名張市が行政代執行

名張市は１月31日、同市新町にある空家を倒壊の恐れがあるとして、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、行政代執行により除去を開始した。
撤去される建物は木造平屋建て（一部屋根裏収納）の建坪約50平方㍍。屋根は瓦葺きで一部波板トタン葺き、壁は土壁で外壁側は波板トタン張。敷地面積は約80平方㍍で、繁茂した樹木は伐採し切り株状に残す。屋根の瓦が道路に落下する危険や、繁茂した樹木が建物を圧迫しており、全体的に老朽化している。２月中旬までに建物の解体は終わり、３月14日に終了宣言の予定。 　建築年は不明だが、古い町並みの残る旧町の通りに面して、きめ細かな格子戸が壁一面に嵌められ、小振りで瀟洒な風情の建物であったことが偲ばれる。推理作家江戸川乱歩生誕の地に近い。この建物については、２０１６年近隣住民から、建物の劣化について苦情の相談があり、22年特定空家に認定。空き家特措法により、県外に住む所有者（相続人）に指導を行ったが、改善されないことから勧告、事前通知を行い、その後改善されないことから命令、戒告し、それでも改善されないことから１月17日、代執行を決定し所有者に代執行令書を送付した。
この日は都市整備部長が代執行の開始を宣言した後、作業員が建物の中から、残された家具や布団、雑貨類を運び出した。代執行費用約３８０万円は、市が所有者に請求の方針。
名張市内には、都市整備部が把握している空き家は約１４００戸だが、住宅土地統計調査では約２５００戸に上るという。
また、今回のような管理不全の空家は約２００戸で、今回のように危険と判断する特定空家は、この他にまだ１軒ある。同市における代執行物件は、14年、21年、22年に続き今回で４件目にあたるという。