名張市立病院を地方独立行政法人に 市議会が中間報告
名張市議会(細矢一宏議長)は12月21日、名張市立病院の経営形態について「地方独立行政法人(独法)への見直しが最適である」との中間報告を北川裕之市長に提出した=写真。市長の諮問機関「市立病院在り方検討委員会」は昨年2月に同じ内容を答申していた。
市議会の市立病院経営改革特別委員会(永岡禎委員長含む6人)は2021年12月に設置以来、公立病院で経営形態見直しの先行事例である三重県桑名市、香川県坂出市、兵庫県芦屋市等を視察し、委員会での議論を17回重ねてきた。そして委員会としての中間報告をまとめ、13日の市議会全員協議会に示し同意が得られたため、議会の意見として提出した。なお独法化に反対する特別委員会の2人の議員は採決に加わらなかった。
市立病院は現在、地方公営企業法の財務規定のみを病院に適用する「一部適用」で運営しているが、経営責任が不明確で、市から多額の繰り入れが続いており、市の財政状況とも絡んで見直しが検討されてきた。特別委員会では、経営責任、組織体制、採用の権限を事業管理者に委ね給与を労使交渉により決定する「全部適用」か、市長が任命する理事長に経営や運営を委ね、独立採算制を取る「独法」とするかで議論を重ねてきた。
今回の「中間報告」では、現在の経営形態では、職員定数の制限や給与の決定等の権限が限定的で迅速性を最も発揮できる地方独立行政法人への見直しが最適とした。また、地域医療体制の強化に向けて大学病院との連携体制の構築が重要であることから、改革して病院組織を統率して運営するためには、医師が独法の理事長の任につくことが必要不可欠である、としている。
一方、独法化に反対する市民団体「名張市立病院を守り良くする会」(和田四十八・代表世話人)の内橋晃子さん(66)は「小児医療や救急など不採算部門には、市の税金を投入し続ける必要があり、メリットが見えない。財政シュミレーションも出ていない段階で、『独法化が最適』と中間報告を出すのは、あまりにも無責任」と反対意見を述べている。