地域と連携した起業支援 近大高専に最新設備
近畿大学工業高等専門学校(名張市)は「近大高専起業家工房」を開設し11月10日、開所式を行った。起業に役立つICT(情報通信技術)を用いた、ものづくりに対応できる最新機器を整備した施設で、学生の起業を含めた様々な活動と地域連携に活用する。
文部科学省の「高等専門学校スタートアップ教育環境整備事業」に、当工房案を含む「地域連携を考慮した近大高専起業支援プログラム」を応募し、採択された。事業費約9000万円は、全額国庫補助を受ける。
高専会館内にある当工房(約70平方㍍)には、仮想空間試作設備として、対象物にレーザー光を照射して空間を立体的にスキャニングする「3Dレーザスキャニングシステム」と「モーショントラッキングシステム」やハードウエア試作設備として、3Dモデリングマシン、3Dプリンタ、紫外線を利用したUVプリンタ、レーザー加工機等々の機材が揃っている。また、ソフトウエア試作設備としてノートPC70台、大型プリンタ、大型スキャナがあり、12席の打ち合わせスペースも用意されている。
同校には従来から、汎用旋盤、フライス盤、マシニングセンタ等々を備える「ものづくり工房」としての工作実習室(4号館・約320平方㍍)があったが、利用は殆ど機械システムコースの学生であった。今回新設の起業家工房は全コースの学生に開放し、卒業研究や授業、実験、技術系部活動、放課後等の自主的なものづくりに利用でき、卒業生も利用できる。また、卒業生や学生が地域と連携した活動・事業で利用するなど、地域活性化への貢献を目指すとしている。
開所式で同校の斉藤公博校長は「起業家目的の研究や、卒業生との共同研究など、全ての学生、卒業生に利用していただきたい」と挨拶し、北川裕之名張市長は「ローカルであっても世界に羽ばたく起業につながることを」と期待を述べた。学生代表でテープカットした電気電子コース4年の生悦住怜花(いけずみれん)さん(18)は「見たことも使ったこともない機械ばかりでワクワクしています。これから卒業研究に取り掛かるので、色々な機材を使えるのが楽しみです。とっかかりに使ってみたいのはUVプリンターです」と笑顔で話していた。