能登半島地震 名張市職員が活動報告
能登半島地震の被災地に派遣の市職員が1月22日、北川裕之名張市長に活動を報告。報告したのは、情報政策室統計担当室長の由川晃規さん(54)と都市計画室建築開発指導係長の安部哲弘さん(46)。
由川さんは、避難所となっている輪島市の門前公民館で、支援物資の配布やトイレの清掃、入浴情報の掲示版記入、巡回看護師との医療情報交換、足腰が弱っている人の歩行補助等を行った。避難している人は大半が高齢者で、認知症の人もいた。中には昼間仕事に行き、夜避難所に帰って来る人もいたという。
1部屋に10人程が寝泊まりし、ダンボールベッドや仕切りがあり、館内はエアコンやストーブで暖かかったが、仮設トイレが屋外の為温度差が激しく、高齢者には厳しい状況。断水が続き手も洗えない、歯も磨けない状況の中、発熱している人が10人ほどいたので、感染症に用心して隔離を行った。食料は主食としてアルファ米等、近くの寺院の僧侶らが、暖かい炊き出しを行っており、栄養は足りていたように感じたという。
避難所運営に輪島市職員を配置する余裕はないようで、会計年度職員や他県からの応援職員で運営されていたが、誰も施設の勝手が分からず避難者の顔も区別できない中で、どのようにして被災者方を助けようか手探りの状態だった。今はルールも無い状態だが、数週間してルールが出来上がっていくのではないかと現場の様子を話す。別の職員が持参したテレビで相撲中継を見ていた時、力強い押し相撲の力士を見て、1人の高齢女性が「引いてはダメ、わたしらも押していかないと」と言っていたが、自分たちを力づけようとして言っていたのか、その言葉が印象に残っているという。
安部さんは穴水町で18日、被災建物の危険度判定を行った。判定業務終了近くのタイミングのため調査は7件。三重県の職員と2人で回り、築5年の家で周囲の家から倒壊した塀が崩れ込み、地面はひび割れするなどしていたため要注意(黄)の判定をした。周辺地域は土砂崩れで死者も出ていた。この家の30歳ぐらいの女性に「この地域は、ダメでしょうか」と問いかけられたが、返す言葉が見当たらなかったという。
2人は名張市が被災地になった時、応援職員の受け入れ体制や、避難所の円滑な開設と運営体制の整備を、今から用意する必要があることを現地経験を元に強調した。