「赤目の集客を倍に」中村 元氏がセミナー
名張市が地域力創造アドバイザーを委嘱している中村元氏のセミナー「名張観光の集客アップ戦略」が9月26日、名張市防災センター(鴻之台)で開かれた。中村氏は、日本唯一の水族館プロデューサーとして鳥羽市水族館、サンシャイン水族館を始め全国の水族館のプロモーションに関り、マスメディアに大きく取り上げられること等で、集客を大きく伸ばしてきた。また、日本初のバリアフリー観光を提唱し、観光地の高齢化マーケットで集客に大きな成果を上げてきた。市の観光に大きな位置を占める赤目四十八滝、日本サンショウウオセンターについて重要な提案があり、約50人の聴取は熱心に聞き入っていた。
この日、いきなり厳しい指摘から始まった講演。名張市は、関西と東海の中間にあると言っているが、それは「どちらでもない」ということ。「オオサンショウウオ」はシンボルになるか? 既に京都水族館に持っていかれてしまっている。「忍者」は上野に取っていかれた。ネームバリューが全くないのが「名張」。赤目四十八滝は、ハイキングコースとしては短いし滝も小さいし小学生向き。 そこから見方を変え、赤目の特質を生かし高齢者から子どもまで、上質な自然環境を体感できるブランディングをし、ターゲティングは、登山ハイキングの中心となっている60~70代、アウトドアレジャーが急増中の女性。だが、どちらも体力がないので、誰にも優しいエコツーリズムの観点から、アクティビティのユニバーサルデザイン化をすることで、戦略的ターゲットを高齢者や女性としてアピールする。するとバリアフリー観光の目的である近隣(大阪)から誘客が増進できる。三重県の「日本一のバリアフリー観光増進宣言」も活用でき、名張市が進めてきた「福祉の理想郷」の基盤も活かせると語った。
「日本サンショウウオセンター」については、「山椒魚水族館」「赤目水族館」など名前の変更を提案。水族館は社会現象で、水族館と名前が付くだけで集客は一気に伸びる。サンショウウオだけでなく、滝川に住む魚や、鳴き声の聞こえるカジカガエルを展示し、コケなど植物による修景を施した水槽に転換する。目先では小規模リニューアルで対応するが、将来的に大自然の中にある特質を生かした水族館として、移転リニューアルを構想し、資金調達していく。
また、サンショウウオセンターの展示に、日本、中国、混血の展示があるが、中国オオサンショウウオが日本に入った由来や、混血に至った経緯などの説明が必要。また、サンショウウオと歴史文化の組み合わせで、百地三太夫と組み合わせ注目を伊賀市からこちらに向ける。忍者と温泉の組み合わせができるのは名張だけだとも。赤目四十八滝の不動滝の橋の下までなら車椅子で行けるので、滝つぼの縁にテラスを設ければ、車いすで滝の正面に向かうことができる。これらのバリアフリーはマスメディアに取り上げられ、大きな効果があるなど、具体的な提案もあった。 この日の講演は、観光のユニバーサル化と中高齢者・女性へのターゲティングと日本サンショウウオセンターの水族館化等で、ネームバリューのない「名張」を、如何にメディアに取り上げられるよう努力することが、集客アップ戦略のポイントであると理解した。
講演に当たっての挨拶で、北川裕之名張市長は「名張に来て欲しいと、以前から恋焦がれた人」と紹介したが、市の期待の大きさが表れている。中村さんは「北川市長から、ピークには30万人以上あった赤目の観光客が、10万人に減ってしまった。何とか2倍に、と言われている」と話したが、自信がうかがえる講演会であった。