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伊賀・名張 厳しい県議選

春の統一選挙は、伊賀・名張選挙区で県議選が行われ、当選者が決定した。
伊賀選挙区
定数2に現職3人が立候補した伊賀では、地域政党「草の根運動いが」の稲森稔尚さん(39)が3期目でトップ当選した。もう1議席は無所属で新政みえ推薦の森野真治さん(53)が5期目の当選を果たした。自民党は、3期目を目指す木津直樹(63)さん(公明推薦)に1本化して臨んだが届かなかった。
稲盛さんは、同市柏野の事務所で支持者らと幾度も万歳をし「まさに草の根活動の結果。大きな政党のように組織に頼れないので、毎朝毎晩街頭に立ち、個人演説会を開いて、皆さんに応援していただいた」と推薦団体や組織票を持たない独自の選挙戦を振り返った。
過去4回トップ当選の森野さんは、出身の自治労を始め、三重県労組の推薦を受け、地域区長の推薦も多く、組織のバックを受けた選挙を展開した。同市服部町の事務所で「政党に勝ったのは、地元の人々の1票1票のおかげ。特に服部町の皆さんにはお世話になった。観光政策、少子化対策、命と暮らしを守る政策に力を尽くしたい」と力を込めた。
名張選挙区
定数2に現職1人、新人2人が立候補した名張では、自民党現職の中森博文さん(69)(公明推薦)が、トップで6期目の当選を果たした。もう1議席は、無所属で新政みえ推薦の荊原広樹さん(39)が初当選を果たした。維新新人の森下広さん(57)は福祉、子育てなど自らの経験や、維新による政治改革を訴えたが、知名度不足で惜しくも及ばなかった。
トップ当選した中森さんは、同市夏見の事務所で、多くの支持者に囲まれ感謝しながら「人口減少の中で、名張に活力を取り戻すようパイプ役を全うする。名張市の観光政策と県の観光政策のマッチングに努力し、観光振興に努める。国道368号線の4車線化を進め名神京阪連絡路の実現に取り組む」と意気込んだ。
昨年12月に名張市議を辞職してこの選挙戦に臨んだ荊原さんは、県議から転身した北川裕之名張市長の後継として、新政みえの推薦を受けて臨んだ。若さと市議としての経験を訴え選挙戦を戦った。「市での経験と背景を元に、県で政策決定に役立て、医療や道路整備など、地域に必要な政策を県で実現したい。選挙戦を通じて、まだまだ知名度が低い事を実感した。活躍して、もっと知ってもらうように努めたい」と意気込みを語った。
過去最低の投票率
伊賀市、名張市の選挙管理委員会によると、今回の県議選の投票率は、伊賀市48・47㌫で、前回(平成31年)の52・38㌫より3・91ポイント低く、名張市40・27㌫で、前回の45・14㌫より4・87ポイント低かった。両選挙区とも、県議選としては過去最低の投票率であった。2番目に低い投票率は、両市とも前回選挙であった。
大政党や組織に頼る選挙では、支持者に安心感が生まれて「大丈夫だろう」と投票に行かなくなり、それが響く場合がある。伊賀市における自民党の敗北にもそれが影響したことは否めない。草の根的な運動は支持者が必ず投票に行く。伊賀選挙区でトップ当選の稲森候補は、前回9、638票を2、558票伸ばし、今回は12、196票獲得した。組織票の大きい森野候補は前回13、798票に比べ、今回は11、382票となり2、416票減じている。自民党の木津候補は前回8、060票を今回は9、873票に1、813票伸ばしたが及ばなかった。前回の自民票(2候補)は14、647票であった。名張選挙区でトップ当選した中森候補は、前回12、629であったが今回12、006票とわずかではあるが623票減じている。知名度のほとんどなかった維新の森下候補は6、296票獲得し、当選した荊原候補の6、978票に682票差と迫っていた。政党維新の勢いが大阪、奈良に限らず、伊賀地域にも押し寄せている気配を感じた。

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