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市長に救援活動報告 名張市立病院DMAT

能登半島地震の被災地へ派遣されたDMAT(災害派遣医療チーム)が1月11日、北川裕之名張市長に現地での活動を報告した。
DMATは笹本浩平医師(総合診療専門医・44)、中井祐樹看護師(39)、藤永和大看護師(36)、業務調整員の小竹顕作理学療法士(46)の4人で、4日出動し7日名張に帰った。最初の目的地である七尾市の公立能登総合病院に到着後、市立輪島病院へ向かうよう指示を受ける。5日午後2時、輪島病院に到着したが七尾市から輪島まで通常1時間のところ5時間もかかった。電気は通っているが水道は断水が続いている。輪島病院では名古屋記念病院DMATと共同で夜間の救急対応を行い、翌日は当病院での入院患者の数を減らすため、他の病院へ患者の搬送を行った。
救急対応では、▽薬が無くて、てんかんの発作を起こし避難所から運ばれてきた女性▽感染症でひどい脱水症状の妊婦▽のどに魚の骨が刺さった子ども▽復旧工事中酸性の薬品が目に入った男性▽足に灯油がかかり、科学性皮膚炎で糜爛した女性等、様々な症状の7人の患者を治療した。入院患者の他の病院への搬送では、慢性閉塞性肺疾患の女性を金沢医科大学病院に運ぼうとしたが、呼吸苦が強く3時間の乗車は困難と判断、搬送を断念したという。
輪島病院を去る際には、大腸がん手術後の女性を金沢医科大学病院に搬送した。損壊で通行できる道路が限られ、渋滞もあり通行可能との情報に従ったが、状況が変わって引き返すなどもあった。また車の揺れが激しく、患者の苦痛を和らげるため、患者の体を抑えるなどし続けたという。
「病院の人々は気丈に振る舞って、辛そうな気配も見せないが、元日以来、交代勤務の人も来れない、ロクな睡眠も取れず、トイレ後に手も洗えず、風呂も入れない状態で大変だろうと想像する。医療者だけでなく一般の人も……」と藤永看護師は印象を語った。
「疲れすぎてウツになる可能性がある。メンタルケアのフォローが必要で、輪島病院が心配だ。DMATも今は普通に話しているが、何か思い出してがくっと来るかもしれない。DMATは行くのも大切だが、帰ってからのフォローも大事な活動だ」と笹本医師は話した。
「支援を受ける『受援』の準備が大切で、マニュアル化は課題である。輪島病院でもマニュアルはなかったと思う。支援の人々が来た時のために、市立病院には必要なのではないか」と中井看護師は話した。
「物資を揃えておくことを机上の空論で行っていた。今後の名張市立病院では、自分たちの生活もままならない状況で、人々の救済をする状態を作らなくてはいけない。南海トラフに備えて、計画をたててローリングストックを考えなくては」と笹本医師は強く語った。
今回のDMATの人々はその時に備えて、貴重な体験を持ち帰ったと感じた。

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