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掛軸装「若宮八幡神像」市の文化財に

伊賀市教育委員会は20日、日本画家の故穐月明氏が伊賀市に寄贈し、伊賀市ミュージアム青山讃頌舎(うたのいえ)で保管されている「若宮八幡神像」を市の文化財に指定したと発表した。神像は縦67・5㌢、横34・9㌢の掛軸装で、冠を被り、右袖に笏を持ち、麹塵袍(きくじんのほう)と呼ばれる装束を着用した若い貴公子が、障子のような屏風を背に、敷物の上に座っている様子が描かれている。右上に垂迹(すいじゃく)の法語が書かれている。垂迹とは、仏が人々を救うため、日本の神の姿で現れることを言い、仏教が興隆した時代に発生した神仏習合の思想の一つ。眉尻が下がり、切れ長の目で貴公子を描いた等の大和絵の描写から見て、鎌倉時代末期から南北朝時代、14世紀の特徴を示しており、この時期に描かれた神道絵画の貴重な優品であるとして文化財に指定。現在鎌倉国宝蔵館の重要美術品として「若宮八幡神像」があるが、線描の習熟した様子や愁いを帯びた表情などを見ると当作品が本来の元作品で、鎌倉は写しではないかと見られるという。
また、旧伊賀町時代の平成7年3月20日に指定された「澤村家のケヤキとしなのがき」のうち、しなのがきは、推定樹齢150年程度で、柿渋は忍びの家業では、火薬を包装する渋紙に用いられたと伝えられるが、1年半ほど前に柿の実が実らなくなり、枯死したので伐採したという。従って同教育委員会は市の天然記念物「澤村家のケヤキ」として登録を変更した。
これにより伊賀市指定文化財は1件増え289件。国指定44件、県指定115と合わせて伊賀市内の指定文化財は448件となる。

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