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三重大病院メディカルラリー 名張チームが優勝

医師や看護師、救急救命士からなるチームが救急救命の技術の腕を競う「三重大学病院メディカルラリー2024」で、名張市立病院の医師と看護師、市消防本部の救急隊員らで構成する「NABARI E.M.S Team Shin~心~」が沖縄、九州等県内外からの17チームが参加する中、みごとに優勝した。
「Team Shi~心~」は2015年、有志により結成され、現在は約30人が所属し、今回のメンバー(医師3人、看護師2人、救急救命士3人の8人、25~34歳)は、今年1月から勤務終了後、週2回2時間程度のトレーニングを続けてきた。チーム発足以来、大会の課題と反省点について詳細な記録が蓄積されており、トレーニングに非常に役に立ったとリーダーで名張消防署救急救命士の山下純輝さん(34)は言う。今回のラリーでは8つのシナリオが用意されており、シナリオの場所(事故等の現場)で診察や救護措置を行い、ジャッジが対応の的確さや職種間の連携、職種を超えての働き等、様々な評価ポイントで採点された。過去からの蓄積とトレーニングが今回の通算6回目の優勝につながった。
実際のシナリオは、国道23号線で4人乗車のタクシーと乗用車が衝突、チームが現場に到着した時は、心停止の1人は既に搬送されていた。残り3人を救急措置して搬送するが、救急車は1台しかない。搬送の順位をつける(トリアージ)場面で、脈拍や呼吸では大丈夫と評価していた人が、医師が診察すると、重い病気が隠れていたのが分かり、その人を先に運ばないといけないと判断した。トレーニングの成果が活かされ、達成感を感じたという。
8人は4月4日、市役所で北川裕之名張市長に「看護師が救急救命士の役をしないといけない場面があるなど、思わぬ状況設定があった」「病院と消防署で顔の見える関係ができたのが良かった。医療の質が上がり名張市民に還元できれば良い」など、夫々に得ることが多かった経験を報告した。名張市立病院循環器科医師の廣田有美さん(30)は「普段は病院にいて、患者が運ばれて来るのを待っているが、現場で医師、看護師、救急救命士関係なく情報を共有して対応するのは大変役に立つ経験だった。心肺停止への対応でも、背景にある病気を考えて救命士が措置をしているのを、顔の見える関係で目の当たりにすることができた。普段は救命士の人の名前も知らないし、与えられた情報だけで対応しているから」と、このトレーニングの意義を強調していた。
北川市長は「救急医療は、人的資源が乏しく、モチベーションを保って頑張って頂いている皆さんに申し訳ないと思っている。心から感謝申し上げたい。南海トラフ地震などは起きる確率が高いと言われている。お互いが見守りあうようなチームワークで、更にレベルアップをお願いしたい」と礼を述べた。

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