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「名張にもあった戦争2023」展

太平洋戦争の終結から今年で78年の夏を迎える。第二次世界大戦では多くの犠牲者を出し、今なお多くの人々が様々な形で苦しんでいる。戦時中の名張は内陸の小都市で、大きな空襲などはなかったが、戦闘機による機銃掃射で多くの死者やけが人が出た。焼夷弾による空襲で大火にもなった。また、青蓮寺にはB29が墜落し、生き残った搭乗員は奈良に送られ、処刑された。名張にも他の都市と同じく、戦争があった。
名張市桜ケ丘の市立図書館で、7月30日まで戦争の悲惨さを忘れないために「名張にもあった戦争2023」展が開かれている。観覧は自由。
会場には、大戦中に起きた、新田焼夷弾空襲や、赤目口駅でのグラマン機3機による機銃掃射(死者50人、負傷者113人)の惨劇のパネル展示があり、また「先人の記録」として郷土資料館所蔵の本を紹介している。ショーケースでは「力」という文字が無数に描かれた下着が展示され「千人力のジバンを着て幾度か死線を越えて帰れた」と書かれた書面が添えられ、その横には千人針の腹巻の展示。「志那事変、大東亜戦争に従軍中に母が作ってくれた千人針を腹に巻き、弾丸の下をくぐってきた」と添えられてあった。無事に帰還することを祈る母親や親族の真剣な祈りが伝わってくる。千人針はよく聞くが、千人力ジバンは初めて目にした。その他従軍のお守りや、戦地から家族への絵ハガキの展示もあった。メインのウインドウには、軍服、「祈武運長久」の日章旗、水筒、小型バッグなどが展示されてあった。これらの軍服、用品、千人力ジバン、千人針、お守り、絵葉書は、同図書館の山口浩司館長(54)の祖父が出征したときに身に着けていたもの。無事に帰還し、大切に保管してあったのが今回の展示に供された。当時名張駅の周りでは、千人針を、本当に千人の人に縫ってもらうために(女性でないといけない)、立っている人も多かったという。千人の女性に「力」と書き入れてもらう切実な思いも同じであったろうと思う。
これらの展示に合わせ児童書コーナーでは、「親子で読みたい戦争の本~平和を願って」の特集展示があり、陳列貸し出しを行っている。
山口館長は「幸い祖父は無事帰還できた。戦後79年が経ち、戦争を語れる人はどんどんいなくなっている。多くの人があの戦争を繰り返してはいけないと、自らの体験や記録を残している。
今回、郷土資料館の蔵書を『先人の記録』として紹介したが、我々には戦争や平和について学ぶ多くの教材が残されている。そして学んだことを次の世代に語り継ぐ責務がある」と力を込めて話していた。開館は午前9時~午後7時。月曜日と25日は定休日となっている。