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10人の先輩と地域の未来を考える&三重県議会議員架空模擬選挙

三重県立名張高校では14日「地域で活躍する卒業生との座談会」&「三重県議会議員架空模擬選挙」の2本立てで主権者学習を行った。対象は1年生(4月から2年生)全員。目的の1つは、自分が地域の一員であることを自覚すること。2つ目は自分の考え・意見をもって、選ぶ(意思表示)力を身に着けること。
今回の学習は、現在活躍している名張高校出身の10人のゲストティーチャーの話を聞き、座談して学習する前半と、今年4月の三重県議会議員選挙に先立ち選挙について経験する模擬選挙の後半で構成されていた。
前半は、「地域で活躍する先輩に学ぶ」がテーマ。自己紹介と高校時代の思い出、卒業後の歩みと現在の活躍について語り、最後に後輩へのメッセージで、約20人の生徒との語り合いを45分づつ行った。これを2回行ったので、生徒たちはそれぞれ2人の先輩の話を聞くことができた。
ゲストの話は▽まちづくり系で、奈良県立大学地域創造学部3年の杉田香乃さん(令和2年卒)、京都産業大学現代社会学部2年の末廣一翔さん(令和3年卒)、名張地区まちづくり協議会事務局長の豊岡千代子さん(昭和44年卒)▽行政系で名張市地域環境部環境対策室の城戸悠馬さん(令和3年卒)、名張市消防本部救急室の池田歩美さん(平成30年卒)▽産業系で、川地写真館の川地清広さん(昭和40年卒)、アドバンスコープの中山瑞穂さん(平成25年卒)、ごりら整骨院院長の森本功太さん(平成23年卒)、日本料理あん藤の安藤弘和さん(平成3年卒)、古民家レストランオステリオciaoの高嶋拓美さん(平成10年卒)の10人。
年齢も職業も多士済々で、すべては紹介できないが、奈良県立大の杉田さんは、自分が既に地域づくりで活躍している目的意識の明確な話をし、豊岡さんは、長年の地域との繋がりや、ひやわん、名張高校生と地元洋品店とのコラボによるファッションショーを来年もやりたい等を話した。安藤さんは、見事な包丁さばきで魚を料理し、生徒たちは固唾をのんで見つめていた。できた刺身は一口づつ生徒たちの口に入っていった。
最後は全員プレゼンテーションルームに移動し、ゲストが交互に言葉を述べた。「高校時代の友達を大切に」「好きなことを見つけ、その中で一番を目指せ」「幅広い知識は未来の自分を助ける」「絶対あきらめないで努力を」「自分の夢で悩んだときは何時でも来てください」様々なコメントが語られた。

架空模擬選挙
続いて、「三重県議会議員架空模擬選挙」に移った。まず3人の候補者が政策を発表した。1番目の候補者は、昨年度名張市長架空模擬選挙を体験した2年生が1年間かけて考えた政策を、担任の山本遥香先生が代表して発表した。政党名は「心によりそう ずっ党」SDGsの①4番(質の高い教育)、②10番(不平等をなくす)、③11番(住み続けられる町づくり)をテーマに考えた。①では、課外活動を増やす。机の上だけではなく、地域と一緒に活動し、例えば川を教室に、触れる、調べる、守る活動を通して、地域の人、次世代を生きる全ての人に繋がれば。②では、ペットの殺処分を減らす。ペット救助隊を設立する。ペットと人とのマッチングアプリを創る。③では、中学、高校を卒業して就職する人々は、低賃金のため自立できない。自立しようとする人のため支援金制度を設ける。以上の何れも資金調達計画が考えられていた。総括して「子供から大人になる間をサポートしたい」とまとめた。
2番目の候補者は「笑顔みえ党」の末廣一翔(かずと)さん。前半のゲストティーチャーの1人。政策は、①まず観光。赤目四十八滝は伊勢神宮や熊野のように全国区になりえていない。瀬戸内国際芸術祭のように、地域クリエーターの育成事業で、この地域を特徴あるものに。②産業と雇用。本社機能を地元に誘致するため「本社移転企業支援事業」や「第一次産業改革支援事業」を提案する。③経験や日常に重きを置いた教育の強化。体験を重視する教育支援で社会に出てすぐに役に立つ力の教育。
3番目は「みえつなぐ党」の杉田香乃さん。ゲストティーチャーの1人。政策の第1は「空家活用」。空家の持ち主と、使いたい人が繋がれるシステムを創る。空家が放置されなくなり、チャレンジが生まれ、街に活気が生まれる。政策の2番目は「事業承継」。まちの伝統・文化を守りたい。お店の人と後継者をつなぐシステムを創る。地域の歴史が途絶えることなく残っていく。政策の3番目は「少子化対策」。人口はどんどん減っていく。このままでは町は無くなるかも。従って地域でチャレンジする人を支援するシステムを創る。活躍する人が増えるとまちが明るくなる。
いよいよ投票に入った。結果は、山本候補110票、末廣候補46票、杉田候補29票。投票総数195票、白票、無効票なし。「心によりそう ずっ党」が当選した。
授業の終了に当って、4月に県議会議員選挙がある。興味を持ってみて欲しい。18歳未満の選挙運動は禁止されているので注意を、と心掛けが述べられた。
授業を受けた岩田有優來(ゆうき)さんは「いろいろな意見があって、選ぶのがたいへんだった」と真剣に考えたことを教えてくれた。
「瀬戸内国際芸術祭」や新潟県十日町の「大地の芸術祭」のように地域に根付いているアートフェスティバルがある、末廣さんの提案は考えてみる価値があるのではないか。杉田さんは今までの実績や、FLAT BASEの運営に実際にかかわっているので説得力があった。
堀校長は「社会に出ている先輩の経験を生の声で聴くことができて、生徒たちは勇気をもらった。今日の授業は参政権など、これから社会人として必要な重要な体験であった」と意義を話していた。