手作り本で伊賀・名張をアピール
名張市美旗町に移住した元公務員の澤田二郎さん(70)が、伊賀や名張のことを、津、伊勢、四日市等広く三重県民に知ってもらうため、新しく書き下ろした「観阿弥と家族の物語」と「名張の幕末(俺たちは裏切ったのか!?)」の2冊を三重県立図書館に寄贈した。併せて、以前に名張市立図書館に納めた「みはたっ子 次郎と一福のタイムトラベル(名張の歴史の旅)」「安政伊賀上野大地震」も寄贈した。
「観阿弥と家族の物語」は、観阿弥が三代将軍足利義満に見いだされ、息子の世阿弥と共に華やかな表舞台で活躍するようになったが、観阿弥の死後、六代将軍足利義教は世阿弥と息子の元雅を弾圧し、世阿弥の弟四郎の息子の音阿弥を引き立てた。元雅が早世した2年後、世阿弥は71歳で佐渡に流刑となり80歳を過ぎて帰洛し、82歳で没したと伝えられる。時の将軍に翻弄され、家庭内には過激な対立も生じるが、観世座苦難の時に、観阿弥の妻千代が重要な役を演じ、帰洛後の老いた世阿弥を金春禅竹に嫁いだ長女が世話をするなど、支え合う家族の問題としてとらえたもの。澤田さんは、観阿弥が伊賀服部の出身で、その後援を伊賀小波多(現在の名張市美旗小波田)の竹原家が担ったことなども知って欲しいとページを割いている。
「名張の幕末」は徳川家に引きたてられた藤堂藩が、維新の戊辰戦争では薩長に与した。1853年黒船来航、1854年伊賀大地震、1856年江戸大地震、疫病(コレラ)大流行など世の中は大混乱の時代であった。武士の目だけで世の中を見ていて良いのかを考え、民のために「仁」を取った武士たちの苦悩を描いたもの。
澤田さんは、市内小中学校で2018年から始まっている「ふるさと学習なばり学」のゲストティーチャーや、市民活動支援センターの「おきがる出前講座」の講師として、豊富な海外経験を背景に、伊賀・名張の人々やさらに多くの人々に、地元の歴史や文化を知って欲しいと活動を続けている。先に挙げた4冊以外に「漫才で語る名張の歴史(正)」「同(続)」「なばり学副読本」合計6冊を著している。名張、伊賀の歴史や文化を世間に伝えるために、この次の構想は?と考えると、大きな期待が持てる。
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