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まち歩きを楽しみ、歴史に親しむ 第16回隠街道市

隠(なばり)街道市がイオン名張店の平面駐車場をメイン会場に10月8日、名張地区まちづくり協議会(田畑純也会長)主催のもと、中町商店街、サンロード商店街及び町中一帯で開催された。
多くの露店やキッチンカーが軒を連ね、メイン会場ではダンスグループが入れ代わり立ち代わり、元気いっぱい踊りまわっていた。ちびっこ向けには、石炭で走るミニSLに多くの親子連れが体験乗車をし、段ボール迷路や、射的、スーパーボールすくいで遊び、お絵描きバスには思い思いのカラフルな絵を描いていた。サンロード商店街では、ふれあい動物園にモルモット、ウサギ、ヤギ、亀、そしておとなしい白蛇等がいて、親子を楽しませた。
また、名張産業振興センター・アスピアでは、当街道市に合わせ7・8・9日の3日間、名張近鉄ガスがガス展を開催し、併せて多くのハンドメイドショップなどで賑わっていた。
名張藤堂家邸(丸之内)では郷土史探訪として、江戸川乱歩研究家・中相作さんによる講演「乱歩、藤堂家、LGBTQ」があり、午後は邦楽の演奏が行われた。新町の「やなせ宿」でも、「artistic乱歩2023」として画家・小林芳郎さんがこの日のために描いた、乱歩を素材にした絵画が10点展示された。どの絵も乱歩の時代を彷彿とさせる興味深いもので、乱歩の生家模型などの展示もあった。また乱歩が若い頃、屋台を引いていた時のラーメンを「志那そば」として再現し販売。30食準備したが1時間ほどで売り切れ。ナルト、シナチク、チャーシュー、刻みネギによるオーソドックスなもので、食べた女性は「最近は、こんなシンプルなラーメンはなかなかない。とても美味しいかったです」と好評の様子であった。
また、まちなか放浪ツアーが催され、はなびし庵で影絵を鑑賞した後、旅館・喜多藤、やなせ宿、乱歩生誕地広場などの旧町を満喫した。
宇流冨志禰神社では、午前の藤堂家邸に続き、中相作さんが「江戸川乱歩とふるさと名張」の講演を行った。夕刻からは、名張・おやこ仕舞教室の発表会があり、子ども9人、大人5人が緊張の面持ちで、日頃の練習の成果を披露していた。
中さんの講演は、「2003年、やなせ宿を江戸川乱歩資料館にしようという話があった。ところが、2002年に、東京池袋の乱歩家が、立教大学に全て寄贈してしまっていた。資料がないので、名張の乱歩資料館は実現不可能になった」とのエピソードから始まる興味深いものだった。乱歩と同時代に生まれた作家には谷崎潤一郎、芥川龍之介、吉川英治、宮沢賢治、その他そうそうたる作家の名前が並び、同時に、その時代を思い起こさせた。乱歩の祖父で津藩家臣の平井陳就(のぶより)(1810~84)、父繁男(1867~1925)の履歴も語られた後、乱歩の生家跡の写真や家の間取りで、乱歩の一生の話しが始まった。川崎克との親交、若い頃の職業を転々としていた時代、村山隆子との結婚など画面で紹介、村山隆子の似顔絵や、チャルメラを拭きながらラーメン屋台を引く漫画風のスケッチを見ると乱歩は絵も上手かったことがよく分かった。「ふるさと発見記」「わが夢と真実」で後年になって乱歩が名張を語り、川崎秀二が乱歩への親近を述べているのも興味深い。1969年から翌年にかけて乱歩全集全15巻が発刊されたが、横尾忠則のイラストが斬新なのに驚いた。江戸時代、藤堂高次の正室で高睦の母のお光(こう)さんが、平井十郎衛門の娘で藤堂家と平井家の縁戚についても調べられているのに感心した。
メイン会場では、三重県立名張高校生が大活躍。かなり詳細な名張の地図に、シールにした名張の名所を貼ってもらうゲーム等、地元の高校生ならではの活動が頼もしく感じた。
一方、地元の青蓮寺ぶどう組合、和菓子店「さわだ一休庵」や「Y’sカフェ」とコラボして開発した「ぶどう大福」「つやぶどうカン」「ぶどうパフェ」「竹あかりジュース」の販売も好調で、それぞれ予定の100個を売り上げたという。総合ビジネス系列・観光ビジネス科目の宮本佳美先生は「2年生が4~9月にかけて取り組んだ。企画書作りからはじめ、それがイメージ出来るようになり、現実に商品化されていく過程では、気持ちがどんどんノッて、生徒が成長していくのが良く分かった」とうれしそうに話していた。
中町の城下川では街道市と合わせて、7、8、9日と竹行灯の列が彩りを添えていた。
しかし、この日は午後から雨模様になり、客足が遠のいたのがとても残念だった。