1. HOME
  2. 今週のトピックス
  3. 春の到来を告げる 赤目四十八滝滝参り

Topics

トピックス

春の到来を告げる 赤目四十八滝滝参り

春の観光シーズンの始まりを迎えた3月31日、安全祈願を祈って「春の赤目滝滝参り」が山岳宗教の修験道の儀式に従い8人の修験者により執り行われた。役行者が開いたと言われ赤目四十八滝では、約1300年続いている行事である。また、この日は、応募した一般参加者28人が水行と火渡り修行に臨んだ。
安全祈願を、修験道の本山ともいうべき滝入口の延寿院不動堂で行った後、渓谷にホラ貝の音を響かせながら修験者と参加者の列は滝川の清流をたどり、修行の場である千手滝に。鶯の声が響く中、早速準備にかかり大護摩供と護摩木祈願が行われた。護摩壇は桧葉でこんもりと厚く覆われ、修験者によって周囲6方向に矢が放たれた後火が入れられた。罪障、煩悩を焼き尽くすと言われる護摩壇の火は激しく燃え上がり、繰り返される般若心経や真言の声と共に、炎はさらに大きくなっていった。
白装束に鉢巻き姿の水行の人々が千手滝の滝つぼに入っていく。当日の気温は22度と暖かかったが水温は10度、恐る恐る入水。しかし、慣れか覚悟を決めたのか、胸まで水に浸かり滝に向かって祈りの手を合わせる。滝つぼから人々が上がってきた頃、護摩の火は燃え尽きて崩され広げられていった。昨年はこの上を火渡りしたが、今年はその横に桧葉が厚く盛られた長さ約6㍍、巾約1㍍、高さ40㌢程に火渡り道が用意された。それに火が入れられて、燃え盛る炎に修験者たちが刀で幾度も邪気を切りながら周囲を巡る。水行を終えて着替えた人々が手を合わせながら見守る中、やがて火がおさまり火渡り道もほぼ静まると、裸足になった修験者たちが火渡りをした。続いて待っていた人々が水行に続く修行に、覚悟をきめた顔をしながら歩いていくが、渡り終わると全員平気で冷静な面持ちなのが意外だった。
名古屋のジム仲間7人と一緒に参加した永田みつるさん(58)は「この催しはSNSで知った。初めての参加だが興味がある皆と参加した。水に入った時は痛い感じがしたが、1分ほど経つと慣れたのか気持ちが良くなった。でも火渡りはドキドキした、まず自分に言い聞かせ仲間も見ているし、我慢だと思って歩いた。少し熱いところもあったが、達成感があった。参加したのは子供が獣医の国家試験に合格する願いを叶えたかったから」と母親の思いを話していた。
延寿院は観光庁の高付加価値化補助事業を受け、立派な南門が建立され周辺も整備され趣も新しくなった。有名な枝垂れ桜は満開が近く、暖かく春らしい日の光を浴びて浮かび上がっていた。