1. HOME
  2. 今週のトピックス
  3. 平和の尊さ伝えたい 桔中生が平和新聞制作

Topics

トピックス

平和の尊さ伝えたい 桔中生が平和新聞制作

名張市立桔梗が丘中学校の2年生169人は昨年9月、修学旅行で広島を訪れ平和記念公園、原爆ドーム、原爆資料館、原爆死没者慰霊碑など多くの慰霊碑を巡り「語り継ぎ部」やガイドの人から話を聞き、祈った。そして、まとめのセレモニーとして原爆の子の像の前で「平和宣言文」を交代で読み上げ、黙祷。祈りを込めて皆で折った千羽の折鶴を奉納し、最後に合唱曲「平和の鐘」を唱和した。そのことを30枚の平和新聞にまとめ、桔梗が丘市民センター1階ギャラリーに2月6日から21日まで入場無料で展示している。多くの市民に原爆や戦争の悲惨さを知ってもらいたい思いが込められている。  2年生たちは修学旅行に向け、1学期から平和学習に取り組んできた。6月には三重県歴史教育者協議会の岩脇彰さんから、広島原爆の概要と名張にも戦争があった講演を聞き「君たちは主権者になって、戦争をさせない主権者、戦争をやめさせる主権者になって下さい。語り部になってください」と教えられ、夏休み中は広島や平和について調べ、原爆投下前後についての映画「夏服の少女たち」「広島に電車が走った」のDVDを見た。また、音楽の時間には合唱曲「平和の鐘」を練習した。
そのような学習を背景にして広島を経験し、戦争の恐ろしさ、命の大切さ、平和の尊さを実感した2年生らは、帰ると直ぐに平和新聞の制作に取り掛かった。1~5組で各組6班、合計30枚の平和新聞が出来上がった。文字ばかりでなく、写真やスケッチ、折り紙等も加えて見やすくし、理解を深めようと工夫されている。
「戦争には何も良いことはなく、ただ憎しみを増すだけということを、次の世代に語り継がないといけない」「折り鶴を奉納しているとき、自分たち2年生の思いが届くようにと思った」「こんな悲惨なことがもう起きないように行動しないと」「1845年8月6日は決して忘れてはいけない」等など、戦争の悲惨さを感じて、次代に伝える思いが表現されている。中には「セレモニーで、平和宣言をし、合唱をしているのを、ずっとビデオで写している人がいた」「合唱に拍手してくれている外国人がいた」など、アピールの効果を描いている作文もあった。
千羽の鶴を糸でつなぎ、ギャラリーでの展示その他を進行した、平和学習実行委員会の5人のメンバー・栫蓮煌(かこいれんき)さん、北森奏羽(そう)さん、澤田芽衣さん、丹生匠優(にぶしょうま)さん、福島健斗さん(全員14歳)に話を聞いた。
「爆心地近くの何気ない地面を掘っていくと、当時の災厄の地面が表れる」「悲惨の極み」「鉄の融点は1400度。原爆の熱は4000度という凄まじさ」「遺体を焼却する匂いが、魚を焼くにおいと似ている話が鮮明に」等、身に染みて感じたショックを改めて思い出したように話してくれた。また「セレモニーの時外国の観光客が足を止めて聞いてくれていたが、僕らの思いが外国人にも通じれば良いのにと思った」と外国人へのアピールを考える意見も出た。
平和宣言文
みんなの思いはこの時の「平和宣言」によく表現されている。終わりの数行に「世界を平和にするために私たちは78年前の事実、祖先たちの思いを次の世代に伝えます。誰もが自由に笑ったり、悲しんだりすることのできる明るい未来のために。自分たちに何ができるかを考えて行動していきます」と集大成の簡潔な文言で終わっている。この文章を考えた澤田さんに「悲しんだり」という言葉を使った意味を聞いたところ「極限まで落ち込んでいる人は、悲しむことも、泣くこともできないから」とよく考えた答えが返ってきた。「これからも原爆や戦争の悲惨さを伝えていきたい」と5人は話す。同センターの開館は午前9時~午後5時までで、最終日の21日は正午まで。