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本番指揮者指導で全集中!名張第九を歌う会

名張第九を歌う会(松岡寿夫代表)は、12月17日のadsホールでの演奏会を前に、本番で指揮をする朝倉洋さんの指導があり、団員は指揮者の要求する表現を汲み取ろうとして、熱心な練習を繰り広げた=写真。合唱団はソプラノ17、アルト11、テノール8、バス13の合計49人で本番には「第九を歌う仲間たち」15人の応援で、今年の合唱団は64人になる。
朝倉さんは、まず一通り最初から最後まで指揮して聴き、合唱団の現状を把握した。「悪くはない……が…」ということで、最初から丹念な確認をしながらの練習となった。ソプラノ、アルト、テノール、バスそれぞれのパートの仕上がり具合のチェックや、ともすれば浅くなるドイツ語の発音を、深い発音にするように繰り返し練習し、微妙に低い音程をハーモニーの中で修正。指摘したことが上手く修正できると「今のところ、声がすごく若返った!」と言って指揮者が嬉しそうな顔をすると、高齢者が多い合唱団は気分が良くなり調子が出て来る。決して強圧的でない穏やかで優しく、分かりやすい指導。この日の練習で、ひとり一人心がけてこれから練習するべきテーマを把握できた様子が伺えた。普段の合唱指導をしている声楽家の羽根功二さん(本番ではバスのソリスト)と藤原康子さんも熱心に聴きとり、本番までに仕上げる練習の方法や仕上げの形を考え、楽譜を書き込んでいた。
歌詞の中には「全ての人は兄弟となる」とか「互いに抱き合うのだ!百万人の人々よ!」と人類の理想が歌われている。朝倉さんは「華やかな音楽だが、理想とする世界が実現しなかったからこそ、実現して欲しいと考えたベートーヴェンの思いが込められている。何故この世界が来ないのか、(当時対立を続けていた)ドイツやフランスの事を考えず、彼は世界を考えていた。世界中の人々が手を取り合う世界になることを。今、世界は混沌としてきた。ベートーヴェンの理想が実現していないこの時代にこそ、人々にこの歌を歌ってほしい。若い人たちに歌って欲しい。この合唱団にいる若い子たちに、世代を継いで歌い続けて欲しい。行先不明の世相に加え、コロナが追い打ちをかけた。世界はタテもヨコも分断された。この時にこそ、この音楽の価値がある」と熱心に語った。
名張市百合が丘に住む藤田育笑(いくえ)さん(中2)と花笑(はなえ)さん(小5)の姉妹は、昨年から2人で参加している。「3年前にお母さんと3人で第九を聞き、歌いたくなった。大好きな音楽。めっちゃ楽しい!」と本当に楽しそうに話していた。大阪の『1万人の第九』にも参加するという。
今年から参加している名張市美旗に住む前田知佳(ともか)さん(40代)と娘の詩乃(うたの)さん(小4)は「毎年この合唱団の第九を聞きに来ていた。親子で参加していた知人を見て自分も参加出来たらと思っていた。娘も小4になったので、思い切って参加した。8時を過ぎると娘は眠くて目が塞がってくるが頑張っている。皆さん優しくしてくれるので入団して本当に良かった」と語った。
5年ほど前まで大阪の交響楽団の合唱団のテノールで歌っていた男性は「随分歌ってきたが、テノールは常に声を出していないと駄目になる。殆ど一からやり直し。早く声を戻して、役に立ちたい。皆さん歌が好きで、第九が好き。この雰囲気が素敵だ」と、歌うことと声を戻すことに希望を見出していた。
「名張第九を歌う会」は1991年創設、毎年adsホール(松崎町)で演奏会を続けてきた。創設33年になるが、コロナで2年抜けたので、今回は第31回コンサートとなる。開演は午後2時(開場午後1時30分)。曲目は、第1部/歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲(モーツァルト)、「小組曲」(ドビュッシー)、第2部/交響曲第9番ニ短調(ベートーヴェン)。指揮/朝倉洋、管弦楽/大阪市民管弦楽団、独唱/堀川明日香(S)、味岡真紀子(MS)、加藤利幸(T)、羽根功二(B)、合唱/名張第九を歌う会・第九を歌う仲間たち。
お問い合わせ先は、山田さん(090・7045・3383)まで。