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目を奪われる障がい者アート みえアールブリュット2024

三重県内の障がいのある人たちの作品を展示する「みえアールブリュット2024~三重のたからもの~」が、武道交流館いきいき(蔵持町里)で2月29日まで開かれた。昨年12月に鳥羽市で開催された「令和5年度三重県障がい者芸術文化祭」の受賞作品37点を始め招待作品19点、計56点が展示された。
アールブリュットとは、障がいのある人などによる既存の美術や文化潮流とは無縁の文脈によって制作された芸術作品の意味で、加工されていない生(き)の芸術と称されている。この作品展は2022年に始まり今年で3回目。1月に「津市久居アルスプラザ」で開催され、名張での出展は今回が初めて。
「障がい者芸術文化祭」入賞者の作品は、絵画、写真、書道、陶芸、手芸、工芸、貼り絵・CG、俳句と多岐にわたっていた。ピアノ連弾を描いた「奏=ふたりの音色―」(中瀬友之作)は、爽やかな音楽の響きが画面から飛び出てくるようだったし、日常的な身の回りにあるもの全てを1つの画面に書き尽くそうとするような「ぼくらの時代」(中村聖作)は、身の回りにあるものを大きさ数ミリにスケッチし、その名前を記入する作業を、無数に繰り返して画面を埋め尽くしていて素朴な情念に圧倒された。
今回招待展示されていた松阪市在住の、ほんままいさんの「たんぽぽ」(120㌢×120㌢)は、たんぽぽに群がるインコなど鳥の群れを色鮮やかに、筆の後もはっきりとわかる筆致で描き、その力強さは見るものを元気づけた。ほんまさんの作品は、運動障害のある腕から生み出されている。05年みえ県展「すばらしきみえ賞」始め、第71、73回県展「優秀賞」など入賞を重ね、国内外の展覧会へ出品や個展開催など、精力的に活躍している。
また、名張市百合が丘の生活介護施設「ワークプレイス栞」利用者の書道作品等も、招待作品として展示されていた。障害のある人が生み出す芸術が、日本はもとより世界中で注目されているというが、今回はその一端を味わうことができた。