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鬼を射る!八幡区行事「弓引き祭神事」

名張市八幡の八幡正八幡宮で1月14日、約400年前に始まったとされる伝統の「弓引き祭」の神事があり、悪いものを退治し人々の健康と幸せ、農作物の豊作を願った。
拝殿で神事祈祷のあと神社の森の中に設けられた「鬼」と書いた的(約60㌢×60㌢)に向かって矢を射るのは、村神主の奥田和彦さん(68)、副神主、地区総代、地区執行部の人々10人。距離は20㍍、順番に矢を射るが、例年は30~40順続いてもなかなか当たらず、徐々に的に近づいて射る。ところが、今年は副神主の田畑和明さん(70)が2度目の順番で、見事に真ん中に命中、大きな拍手を受けた。この後は参拝の人や子供たちが交互に的を狙った。小さな子どもは親と一緒に懸命にツルを引っ張っていた。
言い伝えでは、400年ほど昔の正月17日、八幡村の若者が京都へ遊びに行き、愛宕神社に参った。そこで侍が弓の練習をしていたが、なかなか当たらない。うっかり「当たらへんやないか」と言ったのが侍に聞こえてしまい、怒った侍は弓矢を若者に突きつけ「お前が弓を引いてみよ。当たれば命は助けてやる」。弓など引いたことはなかったが覚悟を決め「守護八幡氏神様」と一心に唱えて射ると見事に命中した。感心した侍はその弓と矢を若者に贈った。村に帰ってこの弓矢は八幡神社に供えられ、毎年1月17日には弓引き神事が行われるようになった。若者がぶっつけ本番で命中させたからか、神事では事前の弓の練習は禁じられている。
この日命中させた副神主の田畑さんは「五穀豊穣や人々の幸せを祈るのはいつも通りだが、鬼を祓って、能登の人々の一日も早い復興を祈りたい」と話した。田畑さんは、昨年は氏子総代、一昨年は神主をした。昨年も矢を命中させたのは田畑さん。選任の宮司不在の神社だが、20年毎の式年遷宮もしっかり続けて、地域の約40戸の人々は、神主やその他の役を交代しながら、八幡正八幡宮を400年間守っている。