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三重県文化功労章受賞 小牧昭夫さん

名張市在住の現代陶芸家・小牧昭夫さん(83)が、第22回三重県文化賞の文化功労章を受賞し6月8日、北川裕之名張市長を訪問し受賞を報告した。今年の同賞の受賞者は3人で、その内2人が名張在住で、もう1人は日本画家の津田親重さん(本紙10日版で紹介済)。
小牧さんは、1939年京都市生まれ、京都工芸繊維大学で窯業工芸学を学び、日立化成に就職し、電気化学のセラミックや蓄電池、燃料電池の研究開発に約40年携わっていた。名張には約40年前引っ越してきた。平成12(2000)年、定年退職と同時に作陶を始めたという。
「スタートが遅かったから、常道ではなく破天荒な、一般に陶芸作家がやりたくないやり方でやろうと考えた。通常ひびは絶対だめだが、ひびだらけにしてはどうだろうか?思い切ってやってみようと思い試行錯誤をつづけ、公募展へ出品。賞を頂けたことが自信につながった」と言いながら、作品を取り出し説明を始めた。「土の塊を作って乾燥させ、くりぬいた内部から専用ハンマーで外に向かってたたき出すと、表面はひびだらけでこんなに薄いのに、こんなに硬くなる。まさに時間をかけて叩き込む作業となる(金属並みの強度になり、叩くと金属のような音が響く)。仕上げに釉薬で彩色を施し、最後に窯で焼く。著名な青磁作家の角谷英明先生の作品は、正反対の作風だが、面白いと強く推してもらえて励みになった」と自身の作風に至った経過を熱心に話した。そして「自分はセラミックの研究をしてきて、この世界に入ってアートと繋がり、化学とアートを一体化するアートサイエンスに気が付き、そのようなことを言い始めている」と芸術についての考えを述べた。作陶を始めて3年後には名張市美術展で市長賞を受賞したのを始め、全国規模の公募展でも受賞を重ねてきた。
小牧さんはこの日、説明の時見せていた「白泥裂文花器」と名付けた作品を、北川市長に寄贈した。北川市長は「伊賀市が崇広堂や赤井家、入交家で展示会をしているように、名張藤堂家邸でも、そのように展開をしたいと思っているので、作品展も考えて頂きたい。これからも多くの作品をお造り頂き、次は文化大賞を受けられますように、お元気で」と励ましていた。
会話の途中で、研究者生活をしていた時の燃料電池の話になり、話が止まらなくなるのに自分で気づき、止めることがあって皆が笑う場面があった。充実した研究者生活があったことが伺えた。ネットで小牧さんが参加した研究論文「高分子個体電解室電池の製造方法」を見つけたので、そのタイトルを見せた時の、なんとも嬉しそうな眼が忘れられない。何事にも熱中する人柄が伺われた。

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