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小売店kokoplace経営 北森陽子さん

新境地へ飛躍の年に!

北森さんは、大山田村出身。結婚して名張に。近鉄名張駅より徒歩5分にある製菓・製パン材料の卸・小売店「kokoplace(ココプレイス)」(平尾)を経営している。株式会社ココプレイスの代表取締役だ。
18年前、自宅でインターネット販売を始めたことが同社のスタートだった。「建築関係の商売をしている家で大きくなったからかな。高校生のときから、いつか自分で商売を始めたいというのが目標でした」と北森さん。ジャンルを問わず、自分の可能性を試してみたいと思い続けてきた。高校卒業後、ファッションデザインの専門学校に進んだ。しかし、理想と現実の違いを知って断念。ただ、辞めたおかげで阪神淡路大震災に巻き込まれずにすんだ。他にも、地下鉄サリン事件、東日本大震災も偶然近くにいたという。「こういう命拾いが結構あって、私は自分が割と運がいいと思っています」と話す。

起業のきっかけ
北森さんが結婚して程なく両親が病気になった。お菓子作りが好きな母の願いを叶えるために、作ってあげる料理の材料を探したが、当時はインターネットでも取り扱っている店が少なくて、不便な思いをした。すると、母が「他にもそういうのを探している人がいるんじゃないの?」と、ひとこと。これがきっかけで自らインターネット販売することを決めた。「自分がやりたいからというよりも、喜んでくれる人がいるならやってみようという感じでした」と話す。
仕事を始めるときに、母から「必死になったらダメよ。「必ず」「死ぬ」って書くから。必死にならないように」と聞かされた。
しかし、体調が悪くて座っていることさえ辛いほどの時期もあった。そんな時、心の支えになってくれるお客様がいた。「本当に感謝して、恩返しをしていこうと思いました。自分が頑張ることで、新しい関わりが増えていく。愛情をいただくことは当たり前じゃない。心から感謝することが、回り回って自分や自分の大事な人に返ってくるということに気付きました」と。そんな思いを共有する人と過ごす時間は心地よい。「応援してくれる人たちに巡り合えたことが一番大きい。人とつながれることが楽しい」と話す。

商品のこだわり
扱っている商品は食品がほとんど。自分が食べたいものや、子どもに食べさせたいものを選んでいる。
客の要望で、メーカーや卸業者、各地の商工会議所などに直接連絡することも多い。「ダメ元で電話します。この業界は信用で成り立っていて、飛び込みで「売ってください」って連絡する人はほとんどいないんで相手にされないことも多い」と笑う。
両親の病気と自身の出産経験から、一層、食品原材料に対するこだわりが強くなった。「自分の体からもうひとり人間を作るってすごい。自分の食べたものが子どもになったり、体を治したりする。日本って、モノにあふれてるから美味しいとか品質が良いのは当たり前。いろんなものがある中で、これだったら安心して食べられるとか、本当に美味しいとか、続けられるとか、そういう目線で選んでいます。何でもいいというわけではない」。

信念をもって
子どもは、もうすぐ20歳になる息子と高校1年生の娘の2人。長女が幼稚園のときに実店舗を出した。当初は子どもが寂しい思いをしないように、気遣いながら仕事をしていた。14年経って、長女は今、母のように起業することを夢見て高校に通っている。北森さんは「楽しみです」と笑顔で話す。
昨年は、外出自粛の影響で自宅で料理する人が増えたため、全国からの注文に追われる日が続いた。長女の手も借りて、スタッフと共に遅くまで休みなく働いた。店内は天井まで荷物でいっぱいになった。過去最高の売り上げだった。
しかし一方で、コロナ禍で苦しい取引先も見ている。北森さんは「柔軟な発想で、定款を見直して、事業内容の見直しをしてでも時代の変化に合わせて生き残っていかないといけない。方向転換を早く閃いて行動に移す。変わってはいけない部分もあるけど、常に努力をして変わっていかないといけない部分があると思っています」と語る。
北森さん自身は、新しい目的があるときにビデオのように、頭の中で想像するようにしている。「完成までがカラーで立体の動画になっていて、その中の足りないところを埋めていけば目的地まで辿り着けます」と。漠然とした生き方にならないように明確な目標を必ず持つようにしている。

今年の抱負は
「仕入れ先が北海道が多いので、北海道に新しく事務所を設けたいと思っています。新しく一歩、新境地に進んでいくような飛躍の年にしたい」。

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