昭和31年(4)犠牲者2人を出した台風15号

昭和31年には台風による災害の記録も残る。9月22日に発生した台風15号は本州南岸沿いに進路を取り、伊賀地方にも甚大な被害を与えながら27日、静岡県御前崎付近に上陸した。名張市では市役所の助役室に非常時対策本部が設けられ、市長の北田藤太郎らが刻々と入る被害状況に応じて緊急措置指令を発したが、各地に無残な傷跡が残った。犠牲者も2人を数えた。松崎町の女性事務員(22歳)は27日午前8時過ぎ蔵持地内の建設省木津川砂防事務所へ出勤するため自宅を出たが、事務所には姿を見せず、午後3時20分ごろ蔵持小学校付近の水の引いた水田で水死体となって発見された。また夏見の主婦(38歳)は6月から保母として勤務していた赤目保育所へ向かう途中、足を滑らせて名張川の濁流に落ちて流され、大屋戸地内で水死体として見つかったのは午後3時半ごろのことだった。
戦後の名張町では昭和24年7月のヘスター台風、28年9月の台風13号が重大な被害をもたらしたが、市制実施後はこの年の台風15号が災害史に残る。さらにその3年後、34年9月には伊勢湾台風が襲来し、名張の地は地域の伝承や記録に残るなかで最大の水害に見舞われることになる。
令和5年10月28日付伊和新聞掲載
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